RE-ternal the Smashers ! -20-

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「……誰ですか」
 入ってきた人物から普通ではない空気を感じ取った男は、警戒心を強めなが
ら尋ねた。この温暖な日差しの下で、どす黒いローブを羽織っている。
「貴様が騎士団団長か」
「そうですが、それが何か」
「禍(わざわい)は早めに刈り取らねばならぬ。残念だが、死んでもらおう」
 そのフードの下から尋常でない殺気を感じ取った男は、警戒態勢を解いてい
つでも跳躍できるように構えた。――と思った瞬間には、既に男のハイキック
が顔の横にあった。脊椎反射でそれを防ぐ。
「……我の蹴撃を交わしたのはお前が2人目だ。しかし運の悪い奴だ。更なる
地獄を見ることになろうとはな!」
 黒い男は体を捻ってパンチを繰り出してきた。辛うじて避ける。
「……面白い。我と格闘で張り合うとは。フム……」
 黒い男は一旦後ろに退いた。
「敬意を表して、久しぶりに呪でも使うか」
 黒い男がそんなことで思案している間にも、男は憔悴していた。
 ――なんだ、コイツは。バケモノか!?

「デス・ブラック!」
 そんな音が聞こえた。すると一瞬自分のまわりが深い闇に覆われたような感
覚を持ったが、次の瞬間には激痛が黒い嵐と共に駆け抜けていった。音が全く
聞こえていないが、辺り一帯の全てが薙ぎ倒されたことは分かる。
 ――噂に聞くCCACなのか。
 辛うじて意識を保っている男に、黒い男は告げた。
「そのチカラ。まさしく永遠の風以外の何者でもない。我がCCACでなけれ
ばもっとよい戦いが望めたものを……。どちらにせよ、貴様の死は変わらない」
 冷笑的な笑みを浮かべると、黒い男は二発目の黒い矢を撃とうとしていた。
「あー……。わりぃな、アポイントメントなしじゃ俺らの団長様には会えない
ことになってる。乱暴な相談は、俺を通してからにしてくれよ」
 軽い男が、瓦礫だらけになった詰所の跡から這い出してきた。さっきの傷は
既に癒えている。隣には、あの熱血少女がいた。
「あの黒の弾丸を防いだようだが、貴様等ザコに用は無い」
 黒い男はそう言うと、再び何の前触れもなしにあの黒い弾丸を放った。しか
し、それは軽い男が腕でぱしっと弾いただけで虚空に掻き消える。
「錬気を扱うだと!」
 ここまできて、狼狽の様子が黒い男に見え始めた。恐ろしく高いプライドを
崩されて憤怒している。
 黒い男は、ローブを投げ捨てた。

 その下に見えたのは、普通の人間と何も変わらぬ姿であったはずだ。
 しかし、確かにその奥底には魔物と同質のものが見える。黒い長髪に黒い目、
秀麗な顔をしているものの、醜さを感じる。ローブの下は軍服であった。
「我を本気にさせたのは貴様等で2回目だ。CCACの限無の真の恐ろしさを
見るのもな!」
 男の魔力が増大し、辺りの空気が凍りついていくのは一般市民にもわかるほ
どだ。CCACの限無という男は、副会長だという。それならば、トップは一
体どれほどのものなのだろうか。
「刻骸!」
 そう言った瞬間、限無の手が消えた。いや、消えたのではない、速過ぎて視
認できなかったのだ。そして、消えた手の変わりに黒い刃が3人目掛けて飛ん
できた。
 誰も避けることままならない。黒い刃は3人をずたずたに切り裂いた。あの
少女は大丈夫だろうか。それを男は確認したかったが、度重なる魔法でもはや
首を動かすことすらままならない。しかし、向こうから何も声がしないという
ことは――。
「おのれ、しつこい風だ」

 『風はやまない』

 そんな不思議な男の声が聞こえた。限無の耳には届いていないらしい。する
と、濁った視界が急にクリアになった。いや、ダメージを喰らう前よりも活力
が満ちてきた。
 さんざん限無という男に永遠の風だとか忌むべき者だとか言われてきたが、
急に自分がそれであることを自覚し、護るべき何かをはっきりとは分からない
にせよ感じた。
 永遠という旋風の中で、自分がその中心になった昂揚感。
 そんな夢のような感覚から現実へとシフトした時、自分の手の中に巨大な剣
が握られているのに気づいた。巨大であるのに、その流れるような繊細な青い
装飾は、まさしく風を連想させる。
「ワールウィンド」
 言うべき言葉はそれだけだった。限無が初めて何かに恐れているような表情
を示したが、次の瞬間には苦痛で顔を歪めている。
 まさしく旋風。


   ■ ■ ■


『永遠……。くだらない。この世に永遠は俺だけだ』
 仲間の方を振り返ろうとしたとき、そんな声が男の耳に入った。
『限無と倒すということは、既に覚醒したようだがそんなことは関係ない。も
はや時の歯車の修正は不可能』
「……何者だ」
『それでも俺に挑むというのなら、ディグリス大聖堂に。しかし、来たところ
で何もできまいがな。ハッハッハ!』
 哄笑は空から来て影に消えた。


                           be continued to

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